書壇には戻らない、どうする?

書壇を離れて何年間かは、晴天の霹靂のような状態だった。自分で選んだくせに。

これまでやってきたこととは別のことをしたい、というのはあっても、それが具体的に何なのかさっぱり分からなかった。何か書いてみたところで、書壇カラー丸出しでどうやったら打ち破れるのかさえ分からなかった。テレビで活躍している人や他の団体で活動している人を色々見ても、こうなりたいと思える活動はなかった。どうしたことだろう。

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このときが一番つらかったかもしれない。個展を開く力もなく、思いどおりの作品を作れる力もなく、それどころか何がしたいのかモヤモヤしたまま。書壇に戻るか?先生になって稼ぐか?今ならまだ若くてエースになれるぞ?

しかし自分の中の僕の答えはNo!だった。はっきりと力強く。

書壇には戻らない、じゃあどうする、分からない、このジレンマからしばらく抜け出せなかった。

答えが出ないまま、もう…書道やめようかな…と思い始めていたとき、知人から空手道場に掲げる書の揮毫を依頼される。(やめようと思ってたのにな)心の中で呟きながらも引き受けた。

そして、引き受けてくれるか?という問いにイエスと答えて初めて、相手はこう切り出した。

「僕の先生は、元世界チャンピオンなんだ」

えらいことになったと思った。

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